スピンフラストレーションとマルチフェロイックス

幾何学的フラストレーションは,原子の空間配置によって最小エネルギー(基底状態)に対応する磁気配列にあいまいさが生じるような物質で起こります。例えば,原子の磁気モーメントが反強磁性的に結合して,隣り合う原子のスピンが逆方向を向いている三角格子では,同じ磁気エネルギーに対応する配列が2通り存在します(図1)。私達はこのようなフラストレーションが生じる磁性体の物性を強磁場磁化および強磁場電子スピン共鳴(ESR)測定の手法を用いて研究しています。
共同研究:
理研,東大物性研,カリッジロンドン大,カピッツア研究所
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 図1:幾何学的フラストレーションを示す格子の典型例

低次元量子スピン系の物理

共同研究:
埼大工,東工大院理,金沢大理,フロリダ大
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高温超伝導体の強磁場輸送現象

銅酸化物高温超伝導体や最近発見された鉄系超伝導体では,その超伝導転移温度(Tc)が高いことに伴って低温での上部臨界磁場(Hc2)も非常に大きな値を示します。銅酸化物超伝導体では通常100テスラのオーダーとなります。このためHc2の温度依存性や,磁場で超伝導を壊した時の常伝導状態の研究にはパルスマグネットやハイブリッドマグネット(定常磁場)を用いた強磁場中電気抵抗測定が強力なツールとなります。私達はパルス強磁場中電気抵抗測定から上記の高温超伝導体のHc2を評価し,その磁場−温度相図から超伝導発現機構の糸口を探ることを目指しています。
共同研究:
阪大院理,産総研,物材機構,筑波大,東大理,東北大理
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 図3:鉄系超伝導体SrFe2(As,P)2のパルス磁場中電気抵抗率
(試料提供:大阪大学理学研究科・田島研究室)

機能性材料の物性研究

非線形伝導,熱電変換材料,配列ナノ空間物質など
共同研究:
名大理,埼玉大工,阪大院理,東工大院理工,首都大学東京
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装置開発

3Heを用いて,極低温(0.5 K)でのパルス強磁場中磁化測定を可能にします。
既存のパルス強磁場中極低温ESR測定装置の高感度化を目指します。
ダイヤモンドアンビルセルによる高圧力発生,さらには極低温環境を既存の強磁場装置と組み合わせて,多重極限環境下での物性測定装置の開発を行っています。
ワイドボアパルスマグネット(ボア径:48mm)と2軸回転機構を組み合わせたパルス磁場中磁気トルク測定装置の開発を進めています。
80テスラ級非破壊型パルスマグネットを用いた超強磁場ESR測定装置の開発を進めています。
東大物性研の金道グループのご協力のもと,非破壊型パルスマグネットの開発・改良を行っています。


試料合成

測定試料は主に共同研究者の皆様からご提供いただいておりますが,私達でも独自に量子磁性体やフラストレート磁性体などの単結晶合成を行っています。
 

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